4.特許の価値
特許流通アドバイザーが扱う特許は、特許法に基づくものであり、特許法が保護するのは発明です。この点では、特許=発明と考えても間違ってはいません。しかしながら、特許の価値=発明の価値とは言えません。発明の価値は、独創性、実用性…等ある程度客観的に(技術として)判断できますが、特許の価値をどう判断するのかは、難しい問題です。特許請求の範囲の広狭、独創性、市場性…等、種々の要素を解析し、点数をつけ、特許の価値を決めようとする試みは数多くあります。しかしながら、これだという決定打はありません。それは、どんなにすばらしい発明であっても、特許権として成立しなければ、特許としての価値は0であり、特許権が成立しても、誰も使わなければ、やはり特許としての価値は0です。一方、発明としては今一つで、権利範囲も狭い特許権であっても、ライセンシーから巨額のロイヤリティーを得ることができれば、特許としての価値は高いと言えます。また、特許権は、特許出願から20年で消滅しますが、発明が消滅することはありません。結局のところ、特許の価値は、特許が上げる収益からしか判断できないというのが実状です。
5.バランス感覚
その中で、マーケティングをどのように進めていくべきかが特許流通アドバイザーの課題です。マーケティングの対象となる特許が同じであっても、時期や相手が異なればライセンス交渉の方法も変わります。ライセンス交渉に当たっては、ライセンシーの現状およびライセンサーの現状を十分に理解したうえで、臨機応変に対応することが重要です。効果的なマーケティングを行うためには、対象となる特許に関する情報(発明者である農工大の教員の共同研究実績や同一技術分野の特許出願情報、業界や企業の情報等)の収集、解析、整理が重要であり、それらに基づくマーケティングが特許の価値を生み出すと言えます。農工大TLOでは、どうすれば農工大の特許を産業界で最大限に活用していただけるのかを念頭に、当事者間のバランスをとりながら、如何にwin−winの関係を構築するのかを最も重要視しています。ライセンス交渉に当たる特許流通アドバイザーに最も必要な感性は、バランス感覚であると言えます。
6.おわりに
真に特許流通活動が成功したか否かを判断できるのは、特許を活用した事業化の成否によりますので、数年から数十年先になる場合がほとんどですが、農工大の特許を使ったから儲かったと実感していただけるようなライセンスができるように全力を尽くしますので、今後ともよろしくお願いいたします。
特許流通に関する疑問や相談等どのようなことでもお気軽にお声をかけていただけましたら幸甚です。市場に農工大ブランドの製品が溢れているという日が来るようにしたいと思っています。
皆様には、これまで以上にご支援、ご協力を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。
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