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|||  技術移転(ライセンス)について
農工大ティー・エル・オー株式会社
シニアアソシエイト 峯ア 骼i


1.はじめに
 大学の知的財産を企業に移転する(技術移転)には、いくつかの方法があります。その代表的なものとして、1)ライセンス、2)共同研究、3)大学発ベンチャーが挙げられます。中でも、1)ライセンスは、技術移転の代名詞的なものです。1)ライセンスの例としては、大学が所有している特許のライセンスがあり、契約で定める範囲で大学の発明(特許)を企業が商品化します。2)共同研究では、大学の技術に基づく研究成果を企業が事業化します。3)大学発ベンチャーは、大学の技術を直接企業化するものといえます。

2.ライセンスのむずかしさ
 大学の特許のライセンスがむずかしいと言われるのは、商品化が見えていない基礎研究に基づく特許が多いからだということもありますが、商品イメージができている特許でも、1)代替技術が存在し得ること、2)権利範囲が回避し得ること、3)侵害の特定がむずかしいこと(特に、発明(特許)を実施しない大学が、権利侵害を見つけることは容易ではありません。)、等々から積極的に大学からライセンスを受けようとする企業はまだまだ少ないと言えます。また、大学の特許シーズを知らないか、知っていても活用の方法が分からないという中小企業も多いと思います。現時点では、ライセンスがうまく行っているものの多くは、人的ネットワークに依る(例えば、教員との共同研究の経験がある企業へのライセンス)ものであると言えます。

3.アピール
 ライセンスを効果的に進めるためには、大学からライセンスを受けることのメリットをもっとアピールする必要があります。例えば、1)企業自身が研究し、特許を取得する場合、1人の研究者が1年をかけて1件の特許を出願したとすると、人件費だけでも1千万円超になります。しかも初期投資です。これに対し、2)大学からライセンスを受ける場合は、5%の料率で2億円を売り上げると1千万円のランニングロイヤリティーになりますが、利益が出てからの支出です。したがって、両者を比較すれば、どちらが有利かは一目瞭然です。さらに、大学と共同研究を行えば、企業が直接研究者を雇用するよりも固定費を減らすことができ、研究の進め方にも自由度(いつ研究を止めても余剰人員を抱えることがない。)ができます。もちろん、教員の頭脳を使えるということが最大のメリットです。

4.契約
 ライセンスは、ライセンス契約を締結することによって行われます。契約書には、1)許諾範囲(期間、場所、用途)、2)許諾形態(独占、非独占、再実施権付き)、3)対価(一時金、実施料、最低実施料)、4)改良発明の取扱等々を規定します。それ以外にも、基本特許なのか応用特許なのか?権利範囲は広いのか狭いのか?代替技術はないのか?特許権のライセンスなのか特許を受ける権利のライセンスなのか?対象特許は一つなのか複数なのか?教員の技術指導が受けられるのか?紛争が生じたときに対応できるのか?市場での強みは何か?等々、様々な事前検討が必要であり、当然それらが対価にも反映されます。ただ実際には、特殊な業界を除いては、2〜5%のランニングロイヤリティーというのが大勢です。契約交渉に当たっては、絶対に譲れないところを事前に決めておくことが重要です。事前準備をしておけば、軌道修正が必要な場合にも適切な対応ができます。一旦契約が成立してしまうと、当事者はその内容に縛られ簡単には修正もできません。契約締結に当たっては、専門家(弁護士等)のアドバイスを受けることが重要です。

5.特許の集中管理
 教員の特許は、同一技術分野であっても複数の権利者(国、JST、TLO、企業、個人等)に帰属していることがあります。同一技術分野の複数の特許をライセンスする場合には、権利者が1人であることが理想です。複数の特許の権利者(ライセンサー)がそれぞれ違う場合には、ライセンサー間の調整がうまく行かないと、ライセンスもうまく行きません。各ライセンサーとライセンシーがそれぞれ個別に契約交渉を進めるということもできますが、ユーザーフレンドリーということを考えると、ライセンサー間で事前調整を行い、窓口になるライセンサーに全権を委任して契約交渉するべきです。契約交渉を円滑に進めるためには、特許の集中管理ということが重要になります。

6.おわりに
 今回は、ライセンシーをどう見つけて、大学のシーズと企業のニーズをどうマッチングさせるのかという本質的な部分には触れずに、ライセンスの周辺事情について感じていることを述べました。これからも一筋縄では行かないライセンスというテーマに果敢に取り組んで行きたいと思います。

 

 

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