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専門家派遣制度について |
農工大ティー・エル・オー株式会社
アソシエイト 木下 豊 |
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専門家派遣制度は、優れた技術を有するものの、経営面でのノウハウに欠けがちな大学発ベンチャーを志す研究者に対して、大学発ベンチャーの創業準備期および創業初期の経営面でのリスクを軽減するために、TLO等の大学関連のインキュベーションを行っている機関を通じ、経営・財務・法務面での専門家派遣による経営等の支援を行う事業である。政策主体は経済産業省であり、事業実施機関は社団法人発明協会である。筆者は農工大TLOの担当者として(財)発明協会への窓口業務を行っている。
本制度の趣旨は、日本経済再生策の目玉の一つであり、80年代〜90年代前半の経済低迷から復活し世界最強の競争力を取り戻した米国の経験、政策をヒントに立案された大学発ベンチャー1,000社創出計画(平沼プラン)を実現することによる日本経済の活性化、競争力強化にある。
本制度が擁している専門家は現在117名で、主に弁護士、公認会計士、弁理士等の有資格者ならびに企業経営等の実務経験者から構成されている。これら専門家の強みはベンチャー企業の支援経験が豊富であるため、ベンチャー企業の実情、課題に精通しており“痒いところに手が届く支援”を提供できる点である。TLO等機関により選定された大学発ベンチャーは必要に応じて、TLO等機関による一定の手続きを踏むことにより、自由に専門家を選んで必要な支援を受けることが出来るが、利用料金は国責で賄われる。
それでは専門家派遣制度は役に立っているのだろうか。結論から言うと、大いに役立っている言える。なぜなら、設立中のベンチャーまたは設立後間もないベンチャーが抱える、法務、財務・会計分野等における課題を本制度の派遣専門家が次々に解決していく様を目の当たりにしてきたからである。具体的には、ビジネスプラン作成、会社設立に伴う手続き、商標出願、設立後決算書作成等である。教育と研究で既に多忙を極めておられる先生方がこれらの手続きを独力で処理することは不可能でないとしても、時間等を考慮するとおよそ現実的ではない。設立中の、または設立間もない大学発ベンチャーは、必要に応じて、専門家の指導・助言を仰ぐことにより、各種手続きの適切かつ迅速な処理が可能となる。また、会社を設立すると、出資契約、実施許諾契約その他様々な契約を企業等と結ぶ機会があるが、できる限り自社に有利な条件で契約したいところである。とりわけ海千山千の企業を相手にする場合は、自社に不利な契約を結ばないよう専門家の力を借りて対抗したい。このような場合、契約の内容、種類に応じて専門家を起用して支援を仰ぐことにより、専門家を擁した企業に対抗することが可能となる。
逆に、本制度がなければどうであろうか。専門家派遣制度の導入前の状況をイメージすれば分かりやすい。会社設立前後に必要とされる複雑な種々手続きを多忙な先生方が独自に処理しなければならないとすれば、時間面、経済面の負担が大きすぎて、ベンチャー設立に至らない場合もあるのではないだろうか。この点、専門家派遣制度は、先生方のベンチャー設立に伴う負担を軽減し、大学発ベンチャー創出を促進する、極めて有用な制度である。そして、設立された大学発ベンチャーは専門家の支援を受けてスピーディーに課題を解決して事業成功へ邁進できるのである。
農工大TLOは今年度13社の大学発ベンチャーを選定し、本制度を通じて支援している。分野的に機械、バイオ、IT、電子、環境等多岐におよぶこれら13社は、いずれも独自の強い技術を有しており、産業界のみならず機関投資家やマスコミ等の注目度も高くその将来が期待されている。これらのベンチャーの成長=日本経済の新陳代謝=日本経済の活性化→日本の競争力アップ→日本の繁栄、であることから、13社には大いに専門家派遣制度をご活用頂き、大きく羽ばたいていただきたいと願うものである。
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